7MHz用アカギスタンダード(AS40)の製作

Sep. 2015 JH7UBC


 昨年製作した21MHz用アカギスタンダード(AS15)を改造して、7MHz用のアカギスタンダード(AS40)を製作しました。
基本的には、JF1RNR今井さん著の「手作りトランシーバ入門」の回路のとおりですが、いくつか変更点と改良点があります。
なお、製作の過程は、JH7UBCブログに掲載してありますので、ご覧ください。

変更点と改良点

 1  中間周波数を8.4672MHzとしました。(サトー電気から購入)これは、8.33MHzの水晶が手に入らなかったからです。
 2  中間周波数に合わせて、VXOの水晶を15.5MHzとしました。(この水晶もサトー電気で購入できます。)
 3  VXOの負荷による周波数変動を少なくするためにバッファ回路を加えました。
 4  出力500mWを確保するため、ドライバーの2SK241をパラ接続にしました。

製作過程

VXOユニットの製作

まず、トランシーバの心臓部であるVXOを製作します。このVXOの性能がトランシーバの性能を左右します。

VXOコイルは、10Kボビンに0.1φUEWを40回巻いて自作しました。
バリコンは、ポリバリコンでも良いのですが、より機械的に安定したタイトバリコンを使用しました。
コアを調節して、6.4μH〜30μHの間でインダクタンスを可変できます。
VXOコイルのコアを調整して、VXOの発振範囲は、15.466MHz〜15.496MHzの30KHzになりました。

VXOは、安定した周波数で発振する水晶発振器にLとCを直列に挿入して、LやCの変化で周波数を変化させる仕組みです。
ですから、VXOの負荷が変化するだけで、周波数が変化します。AS40では、受信時と送信時で負荷がか変わるため、
送信と受信でVXOの周波数が1KHzも変化することがあります。これでは、交信に支障をきたします。
そこで、負荷の変動の影響を少なくするため、簡単なバッファアンプ(2SC1815のエミッタフォロア)を追加しました。
その結果、送信と受信の周波数の変動は、100Hz以内に収まりました。

RIT回路ユニット

このRIT回路により、受信周波数を±500Hz程度可変できます。
バリキャップ1S2208の手持ちがなかったので、1T33(SONY)を使いました。


受信部の製作

RF増幅とミキサーユニットの製作

クリスタルフィルタの製作

 
ラダー型のLSB型クリスタルフィルター
8.4672MHzの水晶を4個使用しています。
コンデンサーは、100pFの積層セラミックで、帯域幅は約500Hzです。
この特性から受信用の局発の発振周波数は、8.466900MHz、
送信用のキャリアの周波数は、8.466100MHzとしました。

IF増幅と検波ユニット

AS15のIFユニットをそのまま使い、同調用のコンデンサを68pFに変更しました。

受信用局発ユニット

8.4672MHz(HC49US)の水晶は、固定インダクタ30μHでは、発振せず、10μHに変更しました。
周波数カウンタで、発振周波数を8.466800MHzにトリマコンデンサを調整します。

AFアンプユニット

定番のLM386アンプです。(AS15のものをそのまま使いました。)

受信部のユニットを接続して、受信テストを行います。

今回AS40の調整と測定には、自作の測定器を使いました。
上の段、左がAD9850DDS_SG、右がPIC16F84A周波数カウンタ
下の段が、QRP POWER METER PO-10jr

AD9850DDS SGから7MHzの信号をアンテナ端子に加え
(出力ボリューム最小で、-20dBのアッテネータを入れました。S1〜2相当の信号です。)
各コアを調整して、最も強く受信できるようにします。
(AGC電圧を測定して、最大にする)

ビニール線などをアンテナ端子に接続し、実際の電波を受信してみます。うまく受信できれば、受信部は完成です。


送信部の製作

CWジェネレータ・ユニット

オリジナルの回路にあるTA7358Pでの送信キャリア発振がうまくいきませんでしたので、
受信用局発と同じ回路で送信キャリアを発振させ、5pFを介してTA7358Pの4番ピンに接続しました。
送信キャリアの周波数は、8.466100MHzです。
ドライバーの2SK241は、最終的には、パラ接続にしています。

ファイナル・LPFユニット

ファイナル2SC2053の回りはAS15と同じですが、
LPFは、T-37#6に0.3φUEWを19回巻に、コンデンサは、470pFに変更しました。

すべてのユニットを組み込んだ状態です。

QRP デジタルパワー計PO-10jrを接続して出力を測定しました。
ドライバーの2SK241が1個では、200mW程度の出力です。
今回は、2SK241をパラ接続にして出力を約500mWにしました。

ダイヤルには、バーニヤダイヤルを使用しました。
ダイヤルの目盛りと周波数の関係です。ほぼ直線的に周波数が変化します。

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