Arduino Si5351A 7MHz CW トランシーバーの製作

2018.1.26更新 JH7UBC



3チャンネルクロックジェネレータSi5351Aを利用してトランシーバーを作れないかと考えました。
受信部はダイレクトコンバージョン受信機とし、送信部は、2SC2053をファイナルとして、出力0.5Wとします。
各ユニットをランド法で作り、それぞれを接続して、トランシーバーとして仕上げます。
全体のブロック図です。





受 信 部

アンテナからの信号のルート順に説明します。

(1)高周波増幅部
2SK241を使った、ごく一般的なRFアンプです。
FCZ-7は、FCZコイルですが、私は10Kボビンに0.1Φホルマル線を巻いて自作しました。

(2)74HC4066検波器 オールパスフィルター 加算器 

左から、検波ユニット、オールパスフィルタ・加算器ユニット、ピークフィルタユニットです。

CL0とCLK1に90°の位相差をつけて、アナログスイッチ74HC4066に加えます。
簡単なLPFを通して、IQ信号を生成します。
このIQ信号をパソコンのマイク端子から入力し、SDRソフトを使えば、これでSDR受信機として動作します。(確認済みです)

I信号(またはQ信号)の位相をオールパスフィルタを通して、90°ずらしてQ信号(またはI信号)と加算することにより、
片側のサイドバンドを抑圧することができます。
この段階での周波数特性です。(今回は、Q信号を90°ずらして、I信号と合成します)
VFOを7.000000MHzにして、ANTからその近傍の信号を加えて加算器の後のAF出力を測定しました。

約700Hzで位相が90°ずれるように調整しましたので、その部分が打ち消されているのが分かります。
また、7.00000は、VFOの周波数ですので、0ビートになります。
この状態で、CWバンドを聞いてみると、片側サイドバンドが若干抑えられますが、混信が強く、まだ実用になりません。
そこで、この後にオーディオ・ピークフィルタを入れてみます。

オディオピークフィルタ回路

300Ωの部分をVRにして、ピーク周波数を調整します。

ピークフィルタの周波数特性です。かなり鋭いです。


ピークフィルタを通した後の周波数特性です。



目的信号に鋭いピークができ、逆サイドは、-40dB程度に抑圧されました。
これで、かなり実用的になりましたが、ピークがかなり鋭く、10Hz単位でのチューニングが必要です。

(3)AF増幅

これは、ポピュラーなLM386アンプとしました。



VFOユニット

心臓部のSi5351A3チャンネルクロックジェネレータは、Arduino(あちゃんでいいの)でコントロールします。



CLK2は、送信用で、7.00000MHz〜7.20000MHzを発生します。
CLK0とCLK1は受信用で、CLK2より、700Hz低い周波数を発生します。
ローアタリーエンコーダを回すごとに周波数がUP/DOWNします。
1クリックで変化する周波数は、STEPボタンを押すたびに、1KHz,100Hz,10Hzと変化します。
また、RITボタンを押すと、受信周波数のみ10Hz単位でUP/DOWNすることができます。
周波数表示はNOKIA5110というLCDを使いました。
Arduino(あちゃんでいいの)は、5V系のものを使いましたので、あちゃんでいいのとSi5351A、NOKIA5110(共に3.3V系)との間には
レベル変換用のICを入れてあります。
このVFOの基本的な動作とArduinoスケッチについては、当サイトのここに掲載しています。




送信部

ファイナルとLPF

ファイナルは、アカギスタンダードと同じ回路で、2SC2053を使い、出力500mWとします。
ドライブは、CMOS IC 74HC00(NANDゲート)を使います。
キーイング回路も74HC00を使いました。



全体の仕上げ

キーイング回路と電源コントロール
(2018.1.8 若干変更しました)



74HC001個で約40mW(50Ω負荷)の出力が得られます。
必要により、パラレルにして使用します。
キーダウンするとゲートが開き、FinalにSi5351Aの信号が送られます。
同時にArduinoに検知され、Si5351AのCLK2に信号を発生します。
この時、トランジスタがOFFになり、RFアンプの電源をカットします。
送信された信号は、RFアンプをスルーして、検波増幅されて、スピーカーからピーという音が出ます。
この音をサイドトーンとして使います。この方法は、アカギスタンダードと同じです。
ただ、本機では、RITを使って受信周波数を変えるとトーンが変わります。

全体の回路図です。(VFO部分には、Memory Write ,Memory ReadとTXスイッチが加えられています)



全基板ユニットを配線した様子です。

最後に、参考までにArduino(あちゃんでいいの)のスケッチは、こちらです。(2018.2.26バグ修正)
メモリー機能なしのスケッチは、こちら。(2018.2.26バグ修正)

なお、各ユニットの製作やデータ測定などは、JH7UBCブログに記事を掲載しています。

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